先日渋谷Bunkamuraで「夏祭浪花鑑」見てきました!

去年の暮れから歌舞伎に行くようになってはや半年(今回で4回目)
ほぼ初めて見る長編というほどの歌舞伎ド初心者の私。
(長編といえばDVDでナウシカ歌舞伎は見ている)
私は内容を理解できるのか!?と不安がありました。が、結論から言うとめちゃくちゃ面白かった
理解するより感じろ…!と。(※大筋の理解はできた)

まず何が良かったかというと、すごく月並みな話ではありますがコロナの制限もあり、なかなか劇場に足を運べない日が続いて、生でしか見られない舞台の良さというのを久しぶりに、存分に味わうことができました!!ありがたい!!!!

今回の演目は夏祭浪花鑑。以下あらすじ

『夏祭浪花鑑』
浪花の俠気の男たちとその妻たちの物語。
主人公は堺の魚売り団七。ケンカが元で入牢したが、出牢の折には女房お梶と幼い息子、老俠客の三婦(さぶ)が出迎えてくれた。
ところが、団七は恩人につながる女を助けるため強欲な舅を誤って殺害。
親殺しの罪は重い。
義兄弟の徳兵衛は、団七の命を助けようと心をくだくが…
歌舞伎演目案内より

ちなみに初演は270年前、と。
聞いて驚きました…270年前にできた話ですか!?
270年前に生きた人と同じもの(厳密に言うと違うけど)を見て、感激していると。まずそこが凄いですよね…
時代が変わっても理解できる、そして心情もわかる。
人間って変わらないんだなぁとふんわりと思う次第です。

以下個人的に印象的、強烈に脳裏に焼き付いていたのは団七が親を手にかけるシーン
シーンは夜更け。暗闇が色濃く、蝋燭の頼りない灯りの中で繰り広げられる、2人の争い。
ここの蝋燭とライトを使った光の演出が非常によくて、団七に光を3方向から当てることで背後に巨大な団七の影がいくつもできる。鬼のような形相、風体の団七も合間って恐怖の演出が素晴らしかった。
(個人的に光を使った演出大好きなんですよね…)
さらに暗がりで行われるため、服や姿が乱れていく様子もどんどん変化していく。一体何が行われているのか。想像力も相まって印象深いシーン。
鬼気迫る、とはつまりこの事か

その後、蝋燭のあかりは消え暗転の後、明転。祭りの若い衆?が大勢踊りながら劇場の奥の扉(大道具を出し入れする扉で扉の前に霊柩車?のような車が置かれている)からなだれ込んでくる。
鏡が置かれたり人形持って踊っている人がいたり、大勢の人々が踊り狂う風に見える。
一体、なんなんだ!?と言う思いとすごい…とにかくすごい…と圧倒される。喧騒はしばしの間で、奥の大扉から捌ける若い衆と団七。
誰もいなくなり静まる舞台上。
とにかく舞台でこんなことできるのか、と度肝を抜かれたのは間違いない。

その後、色々あって、殺人がバレて蚤取り衆(つまり警察)に追われる団七。
蚤取りは町中をアクロバティックにバク転、蜻蛉返り、とにかくぴょんぴょん縦横無尽に動き回る。
なんだ?君は忍者の末裔なのか!?
なんて普通に感動しました。
町並みはミニチュアのような箱?置物?を使い、動かしたり投げたりとさまざまな動きで団七を翻弄、さらに立ち回りもあって見応えがありました!
そして屋根上に逃げる団七、そこでまさかの人形劇!
人形を動かして追っ手を撒くおかしさと、実態に戻ったときに人形っぽく振る舞うコミカルな動きはつい笑ってしまいました。

そしてラストシーン。
団七を逃がそうと助けにきた徳兵衛との殺陣と、和解。
そして開かない大扉(扉というところがいい)
舞台奥から手前に走り出す2人。暗転、明転、暗転、明転を繰り返し、まさにストップモーションのよう
最後にはスクリーンに見立てたついたてに二人のアップの映像が映し出されて幕を閉じる。
これはもう実際に見ないと凄さが伝わらないと思います。
瞬きもせずに興奮して見入りました…シーンとしてもかなり短い間なんですけど、インパクトの強さに圧倒されました…
本当に見に来て良かった…!!と思うばかりでした。
義理と人情とプライドが全てのような人々の姿に、
現代の人にはないその時代の人の生き様が見えて、”粋”を感じられるのが歌舞伎の良さだと思います。
他にも主人公の心情を表してる太鼓の重厚感のある演奏だったり、
舞台上で水浴びできるとか(その井戸使えるのかよ!という驚き)とか、
人もセットもとにかく贅沢に使っているところとか
(場面転換のたびにセットの背景が全く変わるんだ)
見どころはたくさんあるんですけども!

舞台を見に行かない人にこそ
歌舞伎のド派手な演出の凄さを実際に肌で感じてもらいたいと思います!
今回の夏祭浪花鑑の公演は終わってしまいましたけれども、
皆さんも機会がありましたら、他の公演、また配信でもいいので見てみてほしいと思います!
(今回の公演については緊急事態宣言もあって日程の半分が公演中止になってしまっていたのでもしかしたら後日配信あるかもという期待)

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